だるまと言えばなぜ高崎?高崎だるまの工房を訪ねました
2017年11月7日、当店取り扱いの『高崎だるま』の製造元を訪ね、見学させていただきました。
群馬県高崎市にあるこの工房は、だるま専門に製造を行っている工房です。
1年中だるま作りを専門にしている工房は、高崎市内でも数少ないそうです。
目的地は関越自動車道の高崎ICから約10km。
今回はボスと一緒に車で向かうことにしました。
天気の良い日はだるま日和
この伺った日の前日、「明日天気良さそうだから行ってみるか!」とボスの一声で決まった今回の訪問&見学。
だるまは色を塗った後に日と風にさらして乾かして作るので、雨が降っていると外で乾燥の工程が行えません。
外で乾かしているところも含め、製造工程をご紹介したいので、天気の良い日を選んで行ってきたというわけです。
だるま作りの工程
1.だるまの生地
かつての昔ながらのだるま作りは、生地づくりから手作業で行っていましたが、現在では『真空成形』という技術で機械による大量生産ができるようになりました。
この工房では生地メーカーから仕入れ、そこに色付け・絵付けを行ってだるまを作り上げています。
生地は紙でできています。
2.底のおもり
だるまの生地の底に『ヘッタ』と呼ばれる土台をくっつけていきます。
ヘッタは粘土を固めて作られたもので、これが倒しても起き上がる『起き上がり小法師』の重りとなります。
3.下地の白塗り
生地の紙部分がむき出しの状態では色が綺麗に乗らないので、最初に胡粉で真っ白に塗り、下地を作ります。
胡粉とは貝殻を焼いて作った顔料で、日本画や日本人形、仏閣の壁画や天井画などに使われる絵具です。
胡粉を全体に塗った後、外で乾燥させます。
当店で販売している『おえかき白だるま』は、この胡粉塗りまでを済ませた段階のものです。
下地の白があるので、マジックなどできれいに発色するようになります。
4.色付け
胡粉が十分に乾燥したら全体を着色していきます。
当店で取り扱っている12色のだるまは、ここで色別に分かれます。
それぞれの色の塗料に浸して着色し、この後乾燥させます。
5.顔の下地
色付けされた単色状態のだるまの顔部分に、肌色を乗せていきます。
6.絵付け・文字入れ
1つ1つ筆で髭や眉毛を描いていきます。
腹の福入の文字、またサイズの大きめなだるまには肩(顔の横)にも文字入れを行います。
依頼があれば希望の文字を入れることも行うそうです。
これらの工程を経て、だるまが完成します。
職人の手づくりで作られたこの縁起物お飾りは、1つ工程を行うごとに乾燥させる必要があり、とっても手間ひまかけられた工芸品なのです。
昔のだるま作りは今と違う
工房の庭先に、わりと無造作に古臭いだるまが置かれていました。
今生産されているだるまと比べると、どうも顔立ちが違っているような気がしました。
「ああ、これは昔のだるま作りの木型なんですよ」
真空成形でだるまの生地づくりが行われるようになる前、だるまはこの木型から作られていたそうです。
木型に生地となる紙を貼り付け、十分乾燥させてから生地を割り、中の木型を取り出してから膠(にかわ)で貼り合わせるという作業を行っていました。
現在の真空成形の生地は、前後に割って貼り合わせているので、側面にその貼り合わせ跡を見ることができます。
この工房で木型から生地を作っていた頃は、木型についた跡から推測すると、顔の真ん中に切れ込みを入れ、左右に割っていたようです。
昔と今では見た目の印象が違っているのかもしれませんね。
なぜ高崎でだるま作りが盛んなのか?
群馬県南部では冬場になると『上州からっ風』と呼ばれる北西風が吹きます。
これは乾燥した強い風で、群馬県の名物でもあります。
北から流れてきた空気が、山を越える時に湿気を雨や雪にして落とし、山から降りてくる頃には乾いた風になります。
このからっ風が、だるま作りの乾燥工程に最適なので、高崎でだるまが多く作られるようになったと言われています。
また、からっ風が吹き荒れるのは冬場なので、だるま需要のピークとなる年末年始とも時期が合うのも1つの要因と考えられます。
今回訪問したのは11月上旬ということで、年末のピーク需要に向けて大量に生産をしている時期です。
そんな忙しい時期にも関わらず、僕らを快く迎え入れてくれた工房の皆さんに感謝。
縁起物は良いことがあるように願い、人を笑顔にする品物です。
そういったモノづくりを行う作り手の職人さんたちは、とても朗らかで優しさのある人たちでした。
高崎で作られる縁起だるまは、正月だけでなく1年中飾っておける、可愛い置き飾りです。
ぜひカラフルに揃えてお楽しみくださいね。
p.s.
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p.p.s.
ストーブの前から全く動かない猫。
僕らは1時間くらいこの工房にいたのですが、全く動かず1度も目を開けず(笑)。
のんびりしてていいですよね。